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西尾さんと会っていなかったら、一年持たなかった。

AlternaLiv・大家宏之さん × 永和信用金庫・西尾拓馬さん

(左)永和信用金庫・西尾拓馬さん(右)株式会社AlternaLiv・大家宏之さん

(左)永和信用金庫・西尾拓馬さん(右)株式会社AlternaLiv・大家宏之さん

JAM BASEで起こる共創の裏側を聞いていく企画、JAMMING STORY。今回は、楽天ポイントが貯まるスマートリングなど、健康習慣が続くためのヘルスケア機器を手がける株式会社AlternaLivの大家宏之さんと、同社への融資を実行した永和信用金庫の西尾拓馬さんにお話を伺いました。

大家 宏之

株式会社AlternaLiv 代表取締役
前職で楽天ポイントが貯まる体組成計「RakuFit」の事業を立ち上げ、2025年7月に同事業を買い取るかたちで株式会社AlternaLiv(オルタナリヴ)を設立。デバイス・AIアドバイス・ポイントインセンティブを組み合わせ、健康行動を「努力」ではなく「続く仕組み」として設計するウェルネス・ファブレス事業と、習慣化DX・マーケティング支援事業を展開。2026年には睡眠スコアに応じて楽天ポイントが貯まるスマートリング「RakuFit Ring」を発表。健康寿命の延伸をテーマに、高齢者のウェルネス領域への展開を目指す。[

株式会社AlternaLiv https://alternaliv.co.jp/

西尾 拓馬

永和信用金庫 梅田支店次長 兼 JAM BASEオフィス マネージャー
1931年創立、大阪市・東大阪市・八尾市など府内15市で営業する永和信用金庫にて、法人取引を担当。2026年4月開設の「THE EIWA SHINKIN BANK JAM BASEオフィス」のマネージャーとして、梅田支店次長との兼務でJAM BASE入居企業・会員企業への金融支援と、既存取引先である製造業とのマッチングに取り組む。[

永和信用金庫  https://www.eiwa-shinkin.co.jp/

人生の最後の10年

会社について教えてください。

大家宏之(以下、大家) 楽天ポイントが貯まる体組成計「RakuFit」※1と、睡眠スコアに応じて楽天ポイントが貯まるスマートリング「RakuFit Ring」※2を販売しています。会社のテーマは、健康寿命の延伸に貢献すること。最終的には高齢者のウェルネスにも貢献していきたいと考えています。

西尾拓馬(以下、西尾) 永和信用金庫は、大阪府下で狭域に営業する地域金融機関です。地域経済の発展と、お客様と一緒に成長していくことを念頭に、日々活動しています。

体組成計は、前職で立ち上げた事業だそうですね。

 大家はい。前職で始めた事業を買い取って、スピンアウトしたのが約1年前です。楽天ポイントが貯まる体組成計は今のところ弊社だけなので、楽天ではトップクラスで売れています。同じ訴求でスマートリングをつくり、Makuakeで先行販売しました。もっと育てたい、成長させたいという思いで、前職の社長にお願いして事業を買い取りました。今は資本関係も解消していて、好きに経営させていただいています。

なぜ、ヘルスケアだったのですか。

大家 日本は高齢社会ですが、平均寿命と健康寿命には10年以上の差がある。私の母親もちょうど後期高齢者で、日を追うごとに不自由になっていくんです。人生の最後の10年が不自由であることが、イコール不幸せとは限らない。でも、そこのウェルネスをどう改善できるか。そこに貢献したくて、独立しました。

JAM BASEに入った理由は?

大家 創業にあたって周りの経営者に話を聞くと、「創業当初は窓のない雑居ビルで苦労した」という話をよく聞くんです。そういう環境だと煮詰まって、仕事がはかどらない。事業を早く軌道に乗せるには、それなりに良い環境に身を置きたいと思いました。JAM BASEは、窓があるというレベルの話ではなくて、人がいる。スタートアップも、金融機関も、支援機関も同じ建物にいて、廊下を歩くだけで誰かと会う。交流会に出れば、その日のうちに名刺が増える。一人で創業した人間にとっては、渡りに船でした。

西尾 当金庫は昨年グランフロント大阪に拠点を出し、今年4月からJAM BASEにも拠点を構えています※3。グランフロントは職員の女性活躍の場を創出する拠点。JAM BASEはスタートアップがたくさん入居していて、交流会も多い。新規の事業所先開拓が主な目的です。常駐が2名、私は梅田支店の次長を兼務しているので、この場にいるのは半日、2、3時間ほど。ここで出会った方々に金融面での支援をしながら、企業さんと一緒に成長していきたいという思いです。

10倍か100倍ではなく、2回目、3回目

二人の出会いは、JAM BASEの受付でした。

西尾 JAM BASE運営だった河津さん※4のご紹介です。「こういう企業さんがあるんですが、一度お会いしてみませんか」と。4階の受付で私が先に「河津さんをお願いします」と言っていたら、ちょうど大家さんも「河津さんとアポイントがあって」と。この方が大家さんだな、と思って、こちらからお声かけしました。

大家 金融機関と会いたいということは、常々お伝えしてお願いしていました。

第一印象は?

西尾 本格的に事業が動き出してから2か月ほど、ようやく売上が上がってきた段階での初回面談でした。商品に対する熱がすごい。こういうことをやりたい、こういう商品を出したい、将来的にはこうしたい、というビジョンが具体的にあって、それに基づく数字の資料もその場で出てくる。過去の実績はまだそこまでなかったけれど、将来性を見越すと、かなり良い事業内容だなと。我々があまり携わったことのない領域で、JAM BASEっぽいな、と思いながら聞いていました。

大家 創業してから数多くの金融機関とお話ししましたが、その中でも西尾さんはとても誠実そうな印象でした。金融の方は、お堅くて、リターンがどれくらい見込めるかを中心に考えていらっしゃる、というイメージを持っていたんです。西尾さんは、とても親身になって応援していただけそうだった。この方であればサポートいただける、と思いました。

金融機関との付き合いには、苦労もあった。

大家 特にVCですね。「数倍のリターンには興味がない。10倍か100倍を狙わないと元が取れない」と。VCの構造としては当然なのですが、私たちの事業とは相性が違いました。銀行や信用金庫でも、受ける印象はだいぶ異なります。事業内容を説明しても興味を持っていただけないケース、興味は持っていただいても、その後何も進展しないまま過ぎるケース。西尾さんの場合は、すぐにご連絡をいただいて、とても前向きにお話しいただけた。

出資と融資。見ている先が、違う。

西尾 信用金庫は、地域の中小企業や個人が会員として出資し合う協同組織の金融機関です※5。営業できる地域も決まっている。だからVCという概念がなくて、あくまで融資での支援、資金繰りの支援です。最初から大きな資金の提供は難しい。でも少額からお取引をさせていただいて、次、2回目、3回目と重ねるなかで、お互いのことをより深く知っていく。10倍になるかどうかではなく、この会社が来年も再来年も続いていくかどうか。共に規模を大きく成長させていけるような金融面のサポートを心がけています。

見ているのは、伸び幅ではなく、続くかどうか。

西尾 そのぶん、事業の説明や展望だけではなくて、そこに基づくエビデンス、根拠が出てくると、我々としては非常にありがたい。融資は自分たちだけで判断できることではなくて、審査に上げていくので。ビジョンと根拠の整合性を重視します。

ロマンと、そろばん

融資の決め手は何でしたか。

西尾 AlternaLivさんは、我々がJAM BASEに入居して初めて面談し、初めてお取引をした企業さんです。初回は大家さんから事業内容と数字面の説明を受けて、2回目の面談では、税理士の先生に同席していただきました。事業については大家さんがプロ、会計面は税理士の先生がプロ。双方から説明を聞くと、すごく腹落ちした。安心感がありました。

ロマンと、そろばん。両方が、同じ机に載った。

西尾 そうですね。どちらか一方では、審査に上げられない。

大家 私は最初に日本政策金融公庫から借りて、次に銀行から融資を受けたいと考えたときに、壁があったんです。JAM DESK会員※6なので、JAM BASEとの賃貸借契約がない。それを理由に、複数の金融機関から断られました。諦めかけていたときに、永和信用金庫さんがこちらにオフィスを構えるという話があって、JAM DESK会員にも融資していただけると。門戸が開かれたので、それであればぜひ、と。

西尾 我々もここに入居したからには、ここで仕事をされている企業さんとお付き合いしたい。そういう思いがありました。

JAM BASEだから、実現できた関係だと言えますか。

大家 入っていなかったら、西尾さんとも会えていないし、当然融資も受けられていません。今、2期目に入れましたけど、正直なところ、西尾さんと会っていなかったら、一年持たなかったんじゃないかと思います。

点数で言うと、98点

融資が実行されて、印象は変わりましたか。

西尾 イメージどおりでしたね。大家さんは顔が広い方で、館内のどこでお会いしても、違う方と歩いていらっしゃる。グランフロントで女性従業員向けのランチ会を開いているのですが、集客に苦労していたとき、大家さんに「なんとか助けてもらえませんか」とお声かけしたら、すぐ3名呼んでいただいて、事なきを得ました。

大家 西尾さんは全く変わりません。安定していて、フラットで、謙虚で。

点数で言うと。

大家 98点。言葉を発しなくても、常に応援していただいている安心感があるんです。

これから力を入れるテーマは。

大家 健康習慣は、続かないんです。弊社はファブレス企業として、デバイスと、AIアドバイスと、楽天ポイントなどのインセンティブを組み合わせて、自然と健康習慣が続く仕組みを提供したい。その先に、後期高齢者の歩行困難な方向けの歩行アシスト器具を普及させられないかと、研究を進めています。

取材の後、大家さんが持参した試作機を、聞き手が装着した。腰と両脚にベルトを締め、電源を入れると、足を少し出すだけで勝手に進む。電動自転車のアシストに近い。

大家 足が、自然と前に出るんです。ただ、装着するのが高齢者には難しい。家族の方に着けていただいて、付き添って歩くイメージです。国内では介護従事者向けが先行していて、高齢者自身の歩行アシストはまだほとんど出回っていません。

西尾 組成計とスマートリングの展開までは聞いていましたが、歩行アシストは今日初めて知りました。多角化してきたな、という印象です。

最後に。JAM BASEで、次はどんな人と出会いたいですか。

大家 せっかくこういうスペースなので、スタートアップの共通課題に取り組める人と。たとえばバックオフィス機能の共有化や、AIエージェントをどう実装するか。共通課題をパッケージで普及させるような取り組みがあれば嬉しいです。

西尾 金融機関と話ができない、口座がつくれないといった、金融面でお困りの企業様です。すべてにお応えできるとは限りませんが、まずは気軽に、お話を聞かせてほしい。それと、当金庫は大阪市、東大阪、八尾などに支店があって、製造業との取引がかなり多い。スタートアップと既存の製造業のお客様とのマッチングも、進めていきたいと思っています。

※1 楽天ポイントが貯まる体組成計。累計販売5.2万台、月間アクティブユーザー3.8万人(2026年3月時点)。https://rakufit.jp/

※2 RakuFit Ring … 2026年7〜8月にMakuakeで先行販売。2,215人が支援。https://rakufit.jp/rakufit-ring-top/

※3 THE EIWA SHINKIN BANK JAM BASEオフィス … 2026年4月3日開設。

※4 河津さん … JAM BASEを運営する一般社団法人コ・クリエーションジェネレーター(CCG)の元メンバー。

※5 信用金庫 … 信用金庫法に基づく協同組織の地域金融機関。会員は営業地域内の中小企業・個人。

※6 JAM DESK … JAM BASEの会員区分。https://umekita.com/jambase/facilities/jam-desk/

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