
JAM BASE4F Syn-Salon奥での収録風景
JAM BASEのVoicy公式チャンネル「イノベーションは、いっぱい飲みながら。」おもちゃクリエイター高橋晋平さんをモデレーターに、第6回公開収録を開催しました。ゲストは、“クオリア”を研究する脳科学者・理学博士で、Voicyチャンネル『もぎけんの脳ラジオ』を運営する茂木健一郎さん。そして、「音楽による感情のコントロール」をテーマに脳科学と音楽を融合させるニューロミュージックサービスを開発・提供するJAM BASE入居企業の『VIE』の今村泰彦さんです。 これぞ、リアルイベント。来場された方の多くは、そう感じられたのではないでしょうか。 立ち上がり歩き回る出演メンバー。緊張と緩和、その場でしか感じ得ない空気感、熱。イベントレポートを書いていますが、本当に伝えたいのは—「あの場に、来てほしかった」という気持ちです。
主観がすべての起点

「音楽を聴いて快楽となる秘密を探りたい」 「<カプセルトイ>はなんでこんなに欲しくなるんだろう」 「拡散思考はスコアリングができない」 音楽、カプセルトイ、思考の多様性——前半のトークは「脳」の働きを起点に、『VIE』が手がけるニューロミュージックの話から、カプセルトイの企画、そして“拡散思考”へと広がっていきました。一見無関係に思えるテーマに共通していたのは、「正解なんてない」ということ。そして「主観の面白さを信じる」という姿勢です。 茂木さんが語った「ドーパミンが出るのは、<定番性>と<新規性>のちょうどいいバランスが取れたとき」という話も印象的でした。そしてその“バランス”が、晋平さんの「にゃんぷく横跳び」が飛び出した瞬間、まさに会場に訪れていたのかもしれません。
「破壊」から「調和」へと変化

イベント後半は、「イノベーションに本当に必要なこと?」についてキーワードを選ぶコーナー。ゲストが今大事にしている言葉を紹介しました。今村さんが選んだのは「禅」「悟」「美」。 「イノベーションとは、“破壊すること”から“調和すること”へ変わってきた」と語った今村さんは、内発的な感覚に従って意思決定することや、過去の経験から導き出された美意識の重要性について話していただきました。 また、「自分が美しいと思えるものしかつくりたくない」という価値観や、「禅」や「悟」という言葉からにじむ精神性が、プロダクト開発における姿勢と深くつながっていることが印象的でした。
日本らしくスケールするには?

茂木さんは、あえて、日本の課題をとして、「“スケール“しないこと」を挙げました。 例えば、日本料理やお笑いといった文化は、他国に比べてローカル性が強く、世界にそのまま展開するのが難しい。そこには「日本らしさ」の魅力と限界が同居していると。 しかし、視点を変えれば、それは新たなチャンスにもなりうるとディスカッションは広がります。今村さんは、ジャズから派生し生まれたジャマイカのレゲエを例に挙げ、「“間違っちゃった感じ”で生まれるカルチャーが、結果的に面白くなる」と語り、茂木さんは、「アニメ風に日本の街並みを見てみると、めちゃくちゃ良く見える。そこに逆転のシナリオがあるかもしれない」と重ねていきます。 スケールしないことを“弱み”ととらえるのではなく、“独自性”として武器にする。そこに、日本発のイノベーションの可能性があるのではないか。茂木さんの著書「生きがい」にも通じる自分らしさへの愛おしさがイベントの読後感として残りました。



と、レポートを書いてみましたが、音源をぜひ聴いてください。リアルイベントの内容をそのままにというわけにはいきませんが、公開収録のエッセンスは、伝わるはず……ぜひ音源で味わってください。
「イノベーションは、いっぱい飲みながら。」で公開

収録内容は、JAM BASE公式Voicyチャンネル「イノベーションは、いっぱい飲みながら。」で、5回にわけて公開中です。ぜひお聴きください。またよければ番組をフォローしていただけると嬉しいです。
#35以降も順次公開予定です!ご期待ください!
▼出演者プロフィール

ゲスト| 茂木 健一郎さん 脳科学者/理学博士 ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員。東京大学大学院特任教授(共創研究室、Collective Intelligence Research Laboratory )。 東京大学大学院客員教授(広域科学専攻)。 屋久島おおぞら高校校長。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了、理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、現職。脳活動からの意識の起源の究明に取り組む。2005 年、『脳と仮想』(新潮社)で第4 回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12 回桑原武夫学芸賞を受賞。近著に『クオリアと人工意識』(講談社)。IKIGAI に関する英語の著作が、世界35カ国、29以上の言語で翻訳出版される。2022 年4 月には、二冊目の英語の著作The Way of Nagomi(「和みの道」)が出版された。 ・VoicyCH もぎけんの脳ラジオ https://voicy.jp/channel/1136 ・X https://x.com/kenichiromogi

ゲスト| 今村 泰彦さん VIE 代表取締役 1975年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ワーナーミュージック・ジャパンにてオンライン音楽配信事業開発に11年間従事。マーベラスAQL(東証一部)にて、執行役員新規事業開発部長に就任。2013年よりEvernoteに参加、パートナーシップマネジャーに従事したのち、VIEを設立。 ・VIE株式会社 https://www.viestyle.co.jp/

モデレーター| 高橋 晋平さん 株式会社ウサギ/おもちゃクリエイター 2004年に株式会社バンダイに入社。第1回日本おもちゃ大賞を受賞し、世界累計335万個を販売した「∞(むげん)プチプチ」など、アイデア玩具の企画開発・マーケティングに約10年間携わる。2013年にはTEDxTokyoに登壇し、アイデア発想に関するスピーチが世界中に発信された。2014年に独立起業し、株式会社ウサギを設立、代表取締役に。現在は、各種企業と一緒に玩具・雑貨・ゲームなど、遊びにまつわる商品開発や販売、企画チーム作りに携わるなど幅広く活動。著書『1日1アイデア』KADOKAWA、『ボードゲームづくり入門』岩波ジュニアスタートブックス。 ・VoicyCH 高橋晋平の『1日1アイデア』 https://voicy.jp/channel/1883 ・株式会社ウサギ https://usagi-inc.com/ ・X https://x.com/simpeiidea