左:荒木博行さん 右:佐々木一洋
2025年9月、第8回目の公開収録を開催しました。ゲストは、『努力の地図』『構造化思考のレッスン』などの著書や、『超相対性理論』『荒木博行のbook cafe』のパーソナリティである(株)学びデザインの荒木博行さんと、JAM BASEプロジェクトリーダーの佐々木一洋です。モデレーターは、おもちゃクリエイターの高橋晋平さん、MCは、奥田涼です。 今回のイベントは、JAM BASE開業1周年を記念して、“いつかはお呼びしたい”と話していた荒木博行さんを迎えた特別回。Voicy『イノベーションは、いっぱい飲みながら。』も1周年となる、なんともめでたい公開収録となりました。
目的から、自由になろう。
心に残った話をいくつか紹介します。まずトークの前半、「JAM BASEって、どういう状態を理想とするんだろう?」という高橋晋平さんからの問いを起点に議論されたのが、「目的」についてです。 「JAM BASEでは、雑談したい人は雑談でいいし、知を蓄積したい人が来てもいい。ビジネスをしたい人がいてもいい。それくらいの余白があると良い。」 運営側が「こうすべき場所」と決めることは、違う人の排除にもつながってしまう。もちろん一定のルールはあるものの、価値観を押し付けるのは違うのかなと、佐々木さんは答えます。 「目的のために動くことが当然とされてきたけど、時代が変わるスピードを考えたら、“逆算”の発想だけではもたないんですよね」 そして、荒木さんが提示したのは、“アンチ目的主義”という考え方。「3年後なんて、世の中も需要も変わっているかもしれない」という前提のもと、数年後の目標を決めて逆算するのではなく、いま目の前で興味を持ったことに素直に手を伸ばす。その先で“何かができちゃった”という偶然を受け入れる柔らかさこそが、これからの時代、大切なマインドだと語ってくれました。
「飛行機を作ると決めてから部品を集めるのではなく、まず“ブロック”をいろいろ持っておく。言ってみればレゴのように、後からいくらでも組み合わせられる状態を作っておくんです」 目的から離れること。それは怠けることではなく、「好き」や「面白い」と感じる瞬間の衝動を取り戻すことなのかもしれない。そんな気づきを得る対話でした。
“力を抜く”こと、“内側から動き出す”こと
後半は恒例のカードトーク。 荒木さんと佐々木、それぞれが思う「イノベーションに本当に必要なこと」を3つ挙げてくれました。 詳細はぜひ音源で聴いていただきたいのですが、要点を挙げると―― 荒木さんが選んだカードは、「空/縁/遊」。 遊:好きでやっている人、遊んでやっている人には勝てない。 縁:結局、出会いやつながりがあってこそ、何かが動く。 空:「イノベーションを起こすぞ!」と力んでいるうちは、たぶん起きない。 “何にもならなくてもいい”という余白にこそ、自由と創造性が生まれる。
一方、JAM BASEを運営してきた立場から、佐々木が選んだのは「場所/欲/危機感」。 場所:1年間で300社・1300人以上の会員が集まる“混ざれる場”の力。 欲:場所や環境だけでは何も起きない。内側から湧く“やりたい”という衝動が原動力になる。 危機感:そして、「このままじゃダメだ」という感覚こそが、人を動かすエネルギーになる。 “力を抜くことで見えてくるもの”と、“内側から湧く衝動”。 一見、対照的なようで、どちらも人を動かす力を語っています。 佐々木が挙げた“危機感”について、荒木さんが話します。 「理想を言えば“ボトムアップの危機感”だといいですね。つまり、“こうしたらもっと面白いかも”っていう欲求から出てくる危機感。」 それは、“力を抜く”ことと“内側から動き出す”ことの間にある感覚。 上からの号令ではなく、誰かの「やってみたい」から始まる小さな動き。 JAM BASEという場所は、まさにその“ボトムアップの危機感”を育てるための土壌なのかもしれません。目的を追いすぎず、少し肩の力を抜いて。“もっと面白くできるかも”という衝動から、次のイノベーションが生まれていく——そんな読後感を得ました。
高橋晋平さん
当日の模様をぜひ音源で、聴いてみてください。 今回は、全5回に分けて公開します。また、よろしければ番組をフォローしていただけると、嬉しいです。
続きは順次公開予定です!お楽しみに!
▼出演者プロフィール
ゲスト| 荒木 博行さん 株式会社学びデザイン代表取締役社長/武蔵野大学教授 住友商事、グロービス(経営大学院・副研究科長)を経て、学びデザインを設立。 著書は『努力の地図(クロスメディア・パブリッシング)』『構造化思考のレッスン(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』『裸眼思考(かんき出版)』『独学の地図(東洋経済新報社)』『自分の頭で考える読書(日本実業出版社)』『世界失敗製品図鑑(日経BP)』『藁を手に旅に出よう(文藝春秋)』『世界倒産図鑑(日経BP)』『ビジネス書図鑑(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』など/ Voicy「荒木博行のBook Cafe」、Podcast「超相対性理論」のパーソナリティ ・学びデザイン https://manabi-design.jp/ ・Voicyチャンネル「荒木博行のBook Cafe」 https://voicy.jp/channel/794
ゲスト| 佐々木 一洋 JAM BASEプロジェクトリーダー/一般社団法人コ・クリエーションジェネレーター(CCG) 大学院卒業後、大手ゼネコンで現場監督に従事。その後、デベロッパーに転職し、不動産投資領域に12年携わる。その後、グラングリーン大阪プロジェクトへ参画し「JAM BASE」統括としてプロジェクトをリードする。 ・JAM BASE https://umekita.com/jambase/
モデレーター| 高橋 晋平さん 株式会社ウサギ 2004年に株式会社バンダイに入社。第1回日本おもちゃ大賞を受賞し、世界累計335万個を販売した「∞(むげん)プチプチ」など、アイデア玩具の企画開発・マーケティングに約10年間携わる。2013年にはTEDxTokyoに登壇し、アイデア発想に関するスピーチが世界中に発信された。2014年に独立起業し、株式会社ウサギを設立、代表取締役に。現在は、各種企業と一緒に玩具・雑貨・ゲームなど、遊びにまつわる商品開発や販売、企画チーム作りに携わるなど幅広く活動。著書『1日1アイデア』KADOKAWA、『ボードゲームづくり入門』岩波ジュニアスタートブックス。 ・VoicyCH 高橋晋平の『1日1アイデア』 https://voicy.jp/channel/1883 ・株式会社ウサギ https://usagi-inc.com/ ・X https://x.com/simpeiidea
