今回は、大阪・関西万博のレガシーの社会実装や、「国際金融都市OSAKA」としての挑戦をテーマに開催。関西の経済とスタートアップシーンを牽引するリーダー陣による熱いトークセッションに加え、各イノベーション拠点を代表する注目企業によるピッチプログラムを実施し、これからの関西ビジネスの未来を展望する熱気あふれる時間となりました。
【Session 1】国際金融都市OSAKAとアフター万博の展望
第1部のトークセッションでは、日本経済新聞社の堤正治さんをモデレーターに迎え、大阪の未来を牽引する3名のリーダーが登壇。万博の成果を一時的なもので終わらせず、確実な社会実装と産業化へ繋げるための「万博レガシー」の活用について議論が交わされました。 官民一体となった「未来創造会議」を中心に、空飛ぶクルマ(次世代モビリティ)や中之島クロスを拠点とした再生医療、カーボンニュートラルといった先端技術を大阪・関西から世界へどう発信していくか。さらに、それらを加速させるエンジンとしての「国際金融都市OSAKA」の構想について、金融機能のさらなる集積促進や、スタートアップを大企業とマッチングさせる支援など、熱い展望が語られました。
【モデレーター】
日本経済新聞社 大阪本社 経済部 経済部長:堤 正治さん
【ゲスト登壇者】
・大阪府 政策企画部 戦略調整局 副理事(国際金融都市推進チーム長): 多田 一也さん
・公益社団法人関西経済連合会 常務理事 産業部長: 久米 一郎さん
・株式会社大阪取引所 代表取締役社長: 多賀谷 彰さん
【Special Lecture】規制緩和がもたらす、スタートアップへの新たな資金供給の仕組み
第1部と第2部の結節点として、スタートアップの成長を「資金調達」と「株式の流動性」の面から支える最新の規制環境の変化について、特別講演が行われました。
【司会:新谷さんによるセッションのリード】
セッションの司会進行を務めたのは、日本取引所グループ(JPX)・東京証券取引所の上場推進部に所属する新谷さん。本年4月に関西へ着任したばかりの新谷さんは、「大阪・関西のスタートアップエコシステム、ひいては関西経済を皆様と共に盛り上げていきたい」とフレッシュかつ力強い挨拶を述べ、会場を温めながら次の講演へとバトンを繋ぎました。
【証券会社が担う「企業と投資家を繋ぐ」新たな役割】
続いて登壇した日本証券業協会の納富寛さんからは、スタートアップの資金供給における証券会社の役割の変化や、非上場株式の勧誘制度(規制緩和)の進捗について、非常に実践的な解説がなされました。
かつては制限されていた非上場株式の勧誘ですが、昨今はスタートアップ支援の観点から段階的に規制が緩和されています。納富さんは、シード・アーリー期のファンづくりに適した「株式投資型クラウドファンディング」や、より大型の資金調達が可能な特定投資家向け銘柄制度「J-Ships(ジェイ・シップス)」、さらにはオンラインで売買を可能にする「登録PTS」など、多様化する非上場株式の取引制度を紹介。
「重要なのは、どの制度があるかではなく、自社の成長ステージ(フェーズ)に合わせてこれらの制度を賢く使い分けること」と語り、これからの関西のスタートアップが取るべき、新たな財務戦略の選択肢を提示しました。
【司会】
東京証券取引所 上場推進部:新谷 祐貴︎さん
【登壇者】
日本証券業協会:納富 寛さん
【Session 2】大阪のスタートアップ支援拠点と、それぞれの強み
第2部では、ATTRACTIC株式会社の森麻里さんをモデレーターに、大阪のスタートアップエコシステムを支える3つの主要拠点によるパネルディスカッションが行われました。
さまざまな人や企業、研究機関等が集うイノベーションの集積地「JAM BASE」、CICと連携してライフサイエンス領域に特化しグローバル展開を狙う「O-Nexus」、そして多様な共創を生み出す「QUINTBRIDGE」。それぞれの拠点が独自の強みを語り合いながらも、お互いにバトンを繋ぎ、関西が一つの巨大なエコシステムとして一体となってスタートアップを盛り上げていく未来像が示されました。
【モデレーター】
プロエンジニア株式会社 / ATTRACTIC株式会社 代表取締役: 森 麻里さん
【拠点登壇者】
・一般社団法人コ・クリエーションジェネレーター(JAM BASE): 芦田 枝里さん
・日本生命保険相互会社(O-Nexus): 椎野 友介さん
・NTT西日本(QUINTBRIDGE): 及部 一堯さん
【Startup Pitch】未来を創る3社のプレゼンテーション
イベントの締めくくりとして、各拠点を代表する気鋭のスタートアップ3社が登壇し、自社の事業と社会課題解決への想いをぶつける熱いピッチが繰り広げられました。
【ピッチ登壇企業】
株式会社With Midwife (代表取締役:岸畑 聖月さん)
事業内容:助産師の知見とテクノロジーを掛け合わせ、企業の従業員の伴走支援や不調になる前の予防的介入を行う「THE CARE(ザ・ケア)」や、産前産後ケアマンション「Jicca(ジッカ)」を展開。
ピッチ内容:「SOSを発する前に、私たちが介入して救いたい」と語る岸畑さんの言葉には、命の現場をよく知る助産師ならではの切実な優しさと確固たる覚悟が宿っていました。PHR(個人健康情報)の実装や、2028年の神戸旗艦店オープンなど、関西の働く世代の未来を力強く支えるビジョンで会場の共感を誘いました。
株式会社Favy (大阪拠点立ち上げメンバー:徳山 正一さん)
事業内容: 飲食店の初期費用・固定費負担を劇的に下げる「レストラン・アズ・ア・サービス(RaaS)」や店舗DXを提供。JAM BASE 1階でもフードホールを展開中。
ピッチ内容: 倒産リスクに直面する飲食業界の現状に対し、「デジタルの力で、好きを仕事にする人を応援する!」と熱弁を振るった徳山さん。「賑わいは設計できる」という自信のもと、ここJAM BASEの1階でも体現されている、複数店舗が空間や購買力をシェアして共存共栄する全く新しい外食の未来像に、多くの参加者が深くうなずいていました。
株式会社GramEye (代表取締役CEO:平岡 悠さん)
事業内容: 世界の深刻な医療課題である薬剤耐性菌(AMR)問題に立ち向かうため、AIとロボティクスを融合した「グラム染色検査」の全自動化ソフトウェアを開発。
ピッチ内容: 2050年にはがんを超える死者を出すとされる薬剤耐性菌を「世界の裏ボス」と表現し、会場の関心を一気に引き付けた平岡さん。煩雑な手作業の全自動化という、現場医師ならではの「不」を解消する圧倒的な技術力を提示し、さらに「自らが米国へ飛び込み、現地に深く根を張って世界を獲りにいく」という世界進出へのスケールの大きな決意表明に、熱い拍手が送られました。
シード期からグローバル展開まで、それぞれのフェーズに応じたプレイヤーがJAM BASEをはじめとする関西の拠点に集積しています。
JAM BASEは、スタートアップ、大企業・金融機関、行政が、それぞれの目的のもとにまざり、新たな事業機会を共に創出する場として、多様な挑戦を後押ししていきます。
